第10回有識者会議(2023年7月31日)

 

 

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第10回)

法務省 出入国在留管理庁HPより抜粋 

 

 

日時

令和5年7月31日(金)10:00~12:00

 

場所

法務省7階会議室 

出席者

有識者 田中座長、高橋座長代理、市川委員、大下委員、黒谷委員、是川委員、佐久間委員、 鈴木委員(代理出席)、武石委員、冨田委員、冨高委員、樋口委員、堀内委員、山川委員

 

関係省庁等

(内閣官房)

南部参事官、岡野参事官

(出入国在留管理庁)

福原審議官、本針政策課長、安東室長

(厚生労働省)

川口外国人雇用対策課長、堀参事官(海外人材育成担当)

(文化庁)

圓入国語課長

(外国人技能実習機構)

大谷理事長、植村援助課長

 

議事内容

○ 外国人技能実習機構大谷理事長より、【資料3】に基づき、技能実習の継続が困難になった場合の流れと機構の実習先変更支援について説明。

○ 文化庁圓入課長より、【資料4】に基づき、日本語能力の向上方策に関連した現状について説明。

○ 有志の有識者より、最終報告に向けて自身が考えるあるべき制度の全体像やポイントについて御提案。

○ 各有識者より、論点について、下記のような意見があった。

 

【新たな制度及び特定技能制度の位置付けと両制度の関係性等について】

○ 新しい制度から特定技能へしっかりと進める仕組みにすべきである。

その際、実務経験や技能だけでなく、日本語能力も含め、総合的な就労・生活能力を段階的に高めてい仕組みを設ける必要がある。

したがって、新制度は特定技能1号・2号に上がっていくための準備期間としての位置付けとすると、3年間程度で特定技能に上がるのが望ましく、現行の技能実習3号の枠組みは不要ではないか。

○ 「母国のために技能を高めに来ている実習生」から、「働きながら学ぶ人」であるという発想に転換する必要がある。

現在の技能実習は、実習生側から見ると、何故この試験があるのか、何故計画が認定されないと在留資格が変更できないのかなどが分かりにくい制度となっている。

新制度の下では、育成の目的とそのために必要な制度を再度整理する必要がある。

また、能力を向上させた者については、在留資格の更新手続の簡素化や家族帯同を許可するなどモチベーションを上げる仕組みが必要である。

○ 労働法の適用がないまま技能実習として始まった制度であるからこそ許されているところをしっかり洗い出し、労働者であるという前提で制限などを検討していかなければならない。

○ 新たな制度と特定技能制度の関係性、位置付けについて、単純に整合的につなげるということではなく、分野、職種の在り方を含め、慎重に検討すべきである。

○ 新たな制度では、試験内容を高度化し、1年間の技能・知識の向上を確認する。その上で、特定技能1号になるために、例えばN3などの日本語能力と技能検定2級相当の試験を設定し、新たな制度から特定技能制度に移行する労働者と特定技能1号の試験受験者の両者が同じ試験に合格することを要件としてはどうか。

また、特定技能2号については、技能検定特級、1級以上と同等の試験、日本語能力などを要件としてはどうか。

○ 技能実習制度に替わる新たな制度は、外国人の人権保護が十分に担保されるとともに、外国人自身が成長を実感しながらキャリアアップを図れる制度であることが重要である。

また、日本の産業競争力の維持、発展に資する制度であることも欠かせないことから、単なる名前の掛け替えではなく抜本的な制度改革になるよう、引き続き建設的な議論をお願いしたい。重要なのは、安価な労働力として外国人を雇用する手段ではなく、産業の担い手として有為な人材の育成、確保を行えるよう制度設計すべきであり、国際的な人材獲得競争が激しくなる中で、日本が優秀な人材に選ばれる国になるという視点も不可欠である。

○ 新たな制度を修了する外国人がその技能に更に磨きをかけつつ、日本社会で活躍したいと考える場合には、スムーズに特定技能へ移行できる環境整備が必要である。

その際には、技能水準が段階的に上がっていくように、適正な技能評価が重要である。

○ 企業単独型技能実習の取扱いについては、技能移転を通じて日本企業の競争力の強化に貢献していること、不適切な事例が団体監理型に比べると極めて少ないことから、同様の枠組みが維持されるべきである。

○ 技能実習3号について、特定技能との関係性を整理し、3号をなくすのか、3号を特定技能2号に近づけていくのか議論が必要である。

○ 企業単独型について、本来は新しい技能形成プログラムないし特定技能1号に分野追2 加をする方が抜け穴を作らないという意味でよいのではないか。

一方で、企業単独型で実施している方であっても効率的に使えるような制度設計にすることが非常に重要である。

○ 最初から、新しい制度で必ず帰る人、キャリアアップする人というように峻別するのは難しい。制度は複雑にせずに、新しい制度の中に全部おさめて、育成をやってみる形がよい。

新しい在留資格で帰国する場合であっても、もう一度来日することもあり得るのではないか。

 

【人材育成機能や職種・分野等の在り方について】

○ 受入れ企業は、特定技能1号に必要な要件を満たすための実習プログラムを1年単位で3年分用意し、求職者に提案する仕組みにしてはどうか。

その際、1年単位の雇用契約とし、転籍は原則として契約を更新する1年目、2年目の切替えの時のみ可能とし、なおかつ同分野内での転籍とする場合のみ、1年目、2年目の実習実績を、特定技能に上がる際のポイントとして累積可能とするのが妥当である。

○ 技能検定が整備されていない職種については、制度所管省庁とともに、そこで働く日本人労働者も対象となるような新たな試験制度を整備してはどうか。

技能検定を設定することが不要と考えられている分野については、そもそも専門的分野なのかという疑問もあり、そうした場合には特定技能制度として設定する必要がない可能性もある。

新たな制度の目的に人材育成に加え人材確保が入ることを勘案すれば、こうした分野は新たな制度の職種として整理することも考えられる。

○ 受入れ機関も実習生も多能工化を希望していることから、多能工化が図れる制度に整備すべきである。

○ スキル形成のための1年単位の実習プログラムとするのは、リーズナブルでよいと思う。1年単位で企業が提供するスキル形成プログラムという形で見える化し、ポータビリティーもあれば、特定技能へ移行する際のポイントとも使え、非常に有効だと思う。

○ 現行の日単位の実習計画や細かいものは不要であり、手続のための手続といった部分や現状でも実効性がなく負担が大きい部分については不要である。

 

【受入れ見込数の設定等の在り方について】

○ 受入れ上限は、実務経験、技能、日本語能力及び総合的な就労生活能力を身につけさせるための体制整備や実績に応じて、インセンティブやペナルティーが掛かる仕組みが必要である。

○ 受入れ人数の上限については、新たな制度と特定技能制度の両方において、受入れ企業ごとの上限、産業分野としての上限を定めることも考えられる。

新たな制度に人材確保が加わるのであれば、特定技能と同じ分野に新たな制度の職種がある場合は、両者の人数を合算した人数が産業としての受入れ人数となる。

また、特定技能制度の建設や介護分野では、受入れ企業ごとに上限が設けられており、これを全分野に拡大してはどうか。

技能実習制度にあって特定技能制度にない職種についても職種・分野としての受入れ上限を新たに定めることが重要である。

○ 対象業種、分野を追加するプロセスが分かりにくいという声が事業者から上がっている。

職種や分野の追加に当たっては、透明性の高い適切なプロセスが必要である。

特定技能制度の受入れ見込数の設定のプロセスについては、エビデンスに基づく政策立案が肝要であり、透明性と予見可能性が担保された制度とすべきである。

○ 新たな制度では、人材育成と人材確保の二つの側面を持つことになるが、どちらの目的に重きを置くかにより、受入れ見込数や転籍に関する議論の方向性は変わっていくので、有識者の中で共通認識を醸成した方がよい。

○ 新たな会議体の提案がなされているが、その中で、透明化のあるプロセスで労働市場への悪影響等も判定し、労働市場のモニタリングを行ってはどうか。

業所管省庁での様々な取組についても、有効なものは新たな会議体等で取り上げて横展開を促進することができるようにしてはどうか。

 

【転籍の在り方について】

○ 人権配慮の観点から転籍制限を緩和する一方で、着実な技能修得の観点からは、できる限り同一企業、分野での就労・実習継続にインセンティブが働く仕組みを設ける必要がある。

○ 技能実習も特定技能も在留資格を変更しないと転籍ができない仕組みとなっている。

それだけでも他の在留資格と比較してかなり厳しい制限だと思うが、民法上の制約以外になおも転籍を制限する正当性はないのではないか。

なお、転籍を阻害している要因は多数あり、在留資格の変更に関して非常に厳しい審査が行われていることによっても問題が起きているように思う。

○ 技能実習計画が認可されない、実習計画が中断された等により数か月無職になり、失踪してしまう者がたくさんいる。

それを犯罪者と同じように扱う必要はなく、復帰の道を作って早めに正規の就労に戻していくのがよい。

○ ハローワークなど地方の出先機関も積極的に関与することが重要である。

○ 一定の要件の下でこれまで以上に柔軟な転籍を認めるべきである。

ただし、過度な転籍は、外国人のキャリア形成を阻害しかねず、制度の趣旨に反することになりかねない。

時期や回数といった転籍条件は、業界団体等の意見を十分に考慮して設定する必要がある。

また、ハローワーク等の公的機関が介入する制度とする場合は、転籍要件をより柔軟に設定することも可能である。

○ 全国中小企業団体中央会が実施した外国人技能実習生受入状況調査では、転籍の必要性が生じた場合、監理団体が傘下の実習実施者だけでなく、他の監理団体や傘下の実習実施者等に交渉し、責任を持って転籍支援をしていることが分かるため、転籍の要件が緩和され、監理団体の要件として支援の面が強化されたとしても十分に機能できると考4 えている。

○ 入国の際の旅費等の費用を次に受け入れた事業者が支払うというルールを国が整備し、基準を定めていくことが必要ではないか。

また、次の実習実施者が決まるまでの間の預かり期間として、外国人技能実習機構が行っているシェルターの確保や、職業あっせん事業者や仲介ブローカー等がビジネスとして絡んでいないか監視することも必要である。

○ 技能実習生が特定技能への移行時に県をまたぐ移動が想像以上に多い。

相当な人数が地方から都市部、都市部周辺へ流入し、人材確保が目的の制度でありながら、地方においてはその目的が達成されていないのではないか。

新たな制度における転籍要件を緩和し過ぎると、地方の人材確保が難しくなり、目的を果たせなくなる可能性が大いにあることを懸念する。

 

【監理・支援・保護の在り方について】

○ 新たな在留資格における外国人労働者の監理・支援・保護の機関としては、現行の外国人技能実習機構の役割が重要であるが、技能実習制度では、詳細な技能実習計画の認定審査作業に多くの時間と労力が割かれており、指導や援助、保護の面で、十分な人員・労力を割けていない。

○ 来日後の初期段階における就労に必要な日本語の修得、業務についての必要最低限の知識の修得という点で、育成計画を作成させて機構がチェックすることは必要だが、その後の技能修得はOJTが中心となり、業務の幅や進度も人によって異なるため、更に詳細な育成計画を個別具体的に作成して機構が認定審査を行うことは実態に合わず、必要もない。

それよりも、処遇、待遇等で問題のある案件に踏み込んだ監督・保護を行うことができるように業務の重点を移し、人員も増やすべきである。その上で、機構の監督・保護の対象を少なくとも特定技能1号にも広げるべきである。

○ 基本的に、受入れ企業と日常的に関連がある協同組合等が受入れ支援団体となるのが望ましい。 ○ 外国人技能実習機構に弁護士を配置すること、更に制度運用の検証には、第三者の目を入れることが必要である。

また、たくさんの情報を一度に伝えても入っていかないため、入国後講習の後も、数か月後などに公的な機関が講習を行い、困ったときに相談する場所や自分の身を守る情報を提供することが必要ではないか。

○ 監理団体について、人権侵害が多発している現状を踏まえれば、受入れ規模に応じて適正な体制があるか否かが重要である。

受入れ企業数が1社の監理団体が増えているが、転籍を想定した場合の対応面の課題を踏まえれば、受入れ企業が複数あるか否かも検討する必要がある。

また、ハラスメントを含めた法令違反、賃金の支払状況のチェックをこれまで以上に詳細かつ厳格に行う必要がある。

その結果を所轄の外国人技能実習機構や労働基準監督署に提出することや、監理団体として人権侵害を黙認していないことについての対策強化が必要である。

○ 外国人技能実習機構について、職員の増員など体制を強化し、予算を充実させた上で、特定技能制度への関与、ハラスメント事案や転籍に関して、外国人労働者本人に加え、支援団体等からの相談にも対応することが重要である。

○ 制度を機能させるためには現場における運用が極めて重要であり、そのための制度的な工夫が必要である。

就労条件や生活環境に問題を抱える外国人材は一定の割合で生じるものであるので、制度と現場の実態にかい離が生じているケースに対して、制度の本旨に照らしながら、かつ、外国人材に寄り添いながら問題の解決を模索する。

つまり、外国人材の環境調整等の役割を担う支援調整担当者を制度として設けることが必要である。

行政の現場では、深刻な問題を抱える対象者ほど向こうからはやって来られず、いくら行政がサービスメニューをそろえて窓口で待っていても手が届かないことが多い。出前サービス的に支援や調整の任に当たる担当者を制度化しておくことが、制度を機能させるという観点からも必要である。

○ 支援調整担当者を制度として設けた場合、関係各方面に掛け合って問題への対処・解決を促すことがその責務となる。

加えて、失踪者に寄り添い、復帰の道を模索する役割も担わせることが考えられる。

そういった責務をより良く果たすためには相応の専門的な知識や技術が必要であることから、当局がその資格を認定した上で、監理団体や登録支援機関に、それぞれの事業規模に応じた人数の支援調整担当官を配置させることが考えられる。

○ 優良な受入れ機関に対するインセンティブとして、手続書類の簡素化や審査期間の短縮化等を図る制度を導入するのも一案である。優良認定の評価については、受け入れている外国人の日本語や技能の修得状況、最低賃金とのかい離率等を取り入れることも考えられる。

○ 海外との繋がりがない企業にとっては、監理団体があるから都市部、地方、そして企業の大小問わず、受入れ人数枠の技能実習生の確保、配分が可能となり、受入れ後は、違反等がないか監査等で確認し、指導していくという監理団体の存在・機能が新たな制度でもより一層重要になる。

○ 不適正な監理団体もあることから、今より更に監理団体、実習実施者を厳しく指導することが必要になる。

例えば、賃金不払い、最低賃金違反等の労働関係法違反、決算書や証拠書類の偽造、改ざん等を行った場合は、関わった監理団体を公表し、許可を取り消すことをより迅速に行ってほしい。

○ 支援を行っていない監理団体、技能実習共同受入れ事業の実績が1者の組合員しかない監理団体、財務状況が3年以上連続で債務超過や赤字に陥っている組合、常勤役職員等の基準を満たさず、実態が伴わない監理団体は休止するなどの措置を執ることも必要である。

○ 外国人技能実習機構を技能実習制度と特定技能制度の円滑な外国人受入れ体制の機関として整備し、一元的に管理監督することが必要である。

その際には、現在の外国人技能実習機構の預かり運営費等の運営費が不足することが予想されるが、雇用保険の失業等給付の積立金や雇用保険二事業の雇用安定資金からの支出は技能実習制度を利用していない企業にとっては不平等であるため、国の一般財源から支出をすべきである。

○ 弁護士に監理団体の顧問になってもらうのも必要ではないか。

その際には、費用についても検討が必要である。

○ 実習実施者から見た事業協同組合の監理団体に対する満足度は高く、また、特定技能に移行する外国人は、仕事を見つけるために技能実習で支援を受けた監理団体を選択している現状がある。

日本語教育、共生のための支援実績とノウハウのある監理団体に委ね、監理団体が登録支援機関を兼ねて引き続き支援していくことも有効である。

○ 監理団体は、現状同様、非営利のみとすべきであり、定期的な訪問指導、監査等は維持し、優良な監理団体、実習実施者の場合は、その優良性に鑑み、監査回数の減少、若しくは監査項目の簡素化などの措置をしてはどうか。

また、悪質な団体等に対しては、即刻の資格停止が望ましい。

○ 受入れ企業等の要件は、現状維持とし、監理団体とともに優良な者へのインセンティブとして、計画認定時の提出資料の簡素化、審査期間の短縮化を考えてはどうか。

○ 企業活動を円滑に進めるという意味では、監理団体をなくして自由にやらせる方が経済的には合理的だが、それでは使い捨てになってしまう。

この議論のそもそもの始まりは、外国人労働者の人権保護を強めることが大きな目的の一つであったことから、抜け穴を作らない方がよいので、監理団体は必須とした方がよい。

○ 監理団体の非営利性については続けるべきという意見もある一方で、現在、実費のみの徴収しかできず、非営利で活動するという状況は、組織の事業拡大、キャパシティーを拡大するための再投資を厳しいものにしている。

多くの監理団体は、抱えている実習実施者が少数であり、小規模の団体が乱立している状況は、情報の非対称性を高め、様々なところで問題が生じやすくなる。

基準を厳格化して淘汰するという「むち」の部分と事業を拡大していけるという「あめ」の部分を設ける必要がある。

同じ非営利であってもNPOのようにある程度内部留保等を認め、事業の拡大ができるような建て付けもあるのではないか。

○ 現在の建て付けだと、優良な監理団体が「一般監理事業」と呼ばれているが、これを維持するとしても、特に優良な団体というものを新たに設け、そのインセンティブを強化するという3段階に分けてもよいのではないか。

○ 受入れ企業の要件について、特定技能制度の雇用契約適合性の要件が参考になるのではないか。

技能実習における雇用契約は特定技能の雇用契約よりも特殊であるが、技能実習法には、技能実習雇用契約という概念が法律上なく、新たな制度では特定技能の雇用契約のような概念を法律上設けてはどうか。

契約内容の明確化と待遇の説明は、労働法制の現在のトレンドであることから、人材育成目的や実習計画の骨子を契約に盛り込むような形を促進し、それを本人に明示し、かつ合意したという書類の作成保存を明確化することとしてはどうか。

○ 日本国内での育成や保護という点で監理団体が役割を担うことに異論はないが、呼び寄せの段階で必ず監理団体が役割を担うという必要はないのではないか。

また、転籍においても監理団体に全て責任を負わせることには無理があるため、転籍については、公的機関が担うべきではないか。

○ 監理団体と登録支援機関は、外国人の人権保護の観点から目指すべきところは強化し、インセンティブを与えながら、よいところは優遇していく仕組みが重要である。

それを統括する外国人技能実習機構の役割を強化していくことも重要だが、業所管省庁や7 業界団体など、それぞれの役割を強化してオーバースペックにならないよう、それぞれどの役割を重視するかを整理する必要がある。

これまでの論点は相互に作用している。

○ 技能実習生は日本の電話番号を持っていない場合が多いので、SNSやアプリなどで通報できるような制度を作っていただきたい。

SNSでは、雑多な情報があり、どこに行けば正しい情報を取れるかが分からないことが多いので、技能実習生や特定技能外国人などの未熟練労働者が自分でアクセスし、ここに行けば必ず正しい情報が得られるというアプリ等を作れるとよい。 ○ 技能実習生からの匿名の通報も許容するのがよい。

保護までは求めないが、改善してほしいという思いがある人は一定数いると思うので、それを蓄積した上で、ある程度の件数が報告された場合には監理団体に検査に行くというようなシステムがあってもよいのではないか。

 

【特定技能制度の適正化方策について】

○ 登録支援機関の支援体制が不十分であったり、そもそも法令の遵守の支援ができていないところもある。

登録支援機関の要件を厳格化することで特定技能制度全体の適正化と登録支援機関の質の向上を図る必要があり、登録支援機関を許可制にし、監理団体と同等程度の役割を担わせることも考えられる。

また、監理団体と登録支援機関の両方を外国人技能実習機構若しくは機構に代わる組織がチェックする体制としたらどうか。

○ 登録支援機関の利用は必須ではないため、登録支援機関の要件を厳格化すると登録支援機関を利用しない受入れ企業が増加する可能性があり、登録支援機関の要件を厳格化しても効果が上がらない恐れがある。

登録支援機関を利用せずに受け入れることを原則禁止にする、若しくは登録支援機関を利用しない場合は、受入れ企業の要件を厳格化するという施策が必要ではないか。

○ 特定技能制度の分野別協議会の役割を変更し、制度所管省庁を通じて、労使等の関係者参画の下、外国人労働者受入れ政策全般に関し議論する会議体に情報提供、共有を行い、これを踏まえ各分野における具体的な試験の在り方や受入れ人数などについては上記会議体が決定するような仕組みとしてはどうか。

また、新たな制度と特定技能制度を利用する全ての支援機関が必ずいずれかの分野別協議会に所属し、課題の共有や情報提供、周知を行う場とすることがプロセスの透明化、適正化につながると考える。

○ 特定技能制度では、事業者であれば個人、法人、営利、非営利を問わず登録支援機関になることができ、手数料や費用負担の割合、徴収額について何も制限がない。

在留資格申請の代行手続や職業紹介だけを行い、他の支援を意図的に行わない事業者も多数存在することから、今後、事業者同士により価格統一や談合、支援メニューの細分化などの不都合が生じやすい環境にもなる。

そこで、登録支援機関を許可制とし、監理団体と同様に、行政庁が監督しやすい事業協同組合、商工会、商工会議所の非営利団体に限るのがよい。

また、諸手数料の徴収などについてもルールを設ける必要がある。

○ 特定技能外国人に対する職業紹介事業は無料のみとすべきである。登録支援機関が悪質な引き抜き行為を行えない仕組みを作り、無資格で職業紹介事業を行う者への取締り強化、無資格の職業紹介事業者を利用する登録支援機関の取締り強化をしてはどうか。

○ 悪質な登録支援機関への対処方法について、労働法のトレンドとして、法違反企業名の公表の規定が非常に増えている。機関名の公表を制度として設けることにより、営利企業にとっては不適正な行為のディスインセンティブになるのではないか。

 

【国・自治体の役割について】

○ 一元的相談窓口が各自治体に作られ、これにより「定住者」や「永住者」などの在留資格を持った外国人が相談しやすくなったという声を聞く。

新たな在留資格や特定技能についても、職場から離れたところで気軽に集まって母国の行事を共有したり、その中で自然に相談することができるような場所ができるよう、広報や仕組み作りが必要である。

ドイツや韓国では、国や自治体がNGOと協力しながら、定住者や労働者の居場所を作る工夫を凝らしていた。

○ 受入れ現場の実態に合った円滑・適正な受入れ、送出しに向けて、業界団体と業所管省庁がイニシアチブをとり、自治体や関係する幅広いセクターの協力も促して、業界としての取組を進める仕組みが必要である。

その際、現行の特定技能協議会の枠組みを活用して、多方面との連携を図っていくことが重要である。

○ 特定技能の建設分野では、JAC(一般社団法人建設技能人材機構)が円滑・適正な受入れの機能を果たしているが、その他の分野では十分に機能を果たしているとはいえない。

業所管省庁と業界団体で、業界の人手不足にこの仕組みをどう活用するかをしっかり考え、各現場での実習プログラムのモデルの作成や関係機関との連携、実習実施困難者の実習先の紹介、現場の実態に合った日本語教育のプログラムの提供、受入れ側でのやさしい日本語の普及など、受入れ現場の負担が少しでも減り、円滑・適正な受入れが進む環境を作る必要がある。

○ 送出国との連携や来日前教育、マッチングも含めて、各業界別に取組を進めることも一つの方法であり、そうであれば外国人技能実習機構や入管は、飽くまで適正な取組がなされているかをチェックする役割に徹し、アクセルを踏むのは業所管省庁や業界団体という形が望ましい。

○ ハローワークや労働基準監督署を含む外国人労働施策に関するチェック体制の強化や施策を実施する上で必要な予算の確保を含めた支援、管理監督体制の強化が必要である。

また、外国人技能実習機構だけでなく、ハローワークなどの相談体制のさらなる充実が必要である。

○ 日本政府のビジネスと人権のガイドラインを踏まえた取組が求められており、特に人権侵害に対し、業務の発注元企業はサプライチェーン全体の労働者が利用できる外国語対応が可能な相談窓口の設置や、問い合わせの対応、通報を踏まえた調査対応も求められている。

そうした取組を行っている事業者もあり、行政としてビジネスと人権を踏まえた施策の普及に向け積極的に取り組んでいくことが重要である。

○ 業界の人手不足の状況や人材確保が十分に講じられているか、また、産業政策の観点を含めて、予算確保と併せて業所管省庁が検討、関与することが重要である。

○ 外国人の生活の利便性を高める生活環境の整備に取り組むべきである。

半島、離島、過疎地域では、民間の賃貸物件がなく、外国人の生活環境確保のコスト負担が大きいことから、現場からは空き家のリフォーム等に対する支援の要望が多い。

○ 法令違反、人権擁護、人権侵害防止への実効性のある対策として、労働法令も含めた法令違反のための連携強化、申告等があって所轄機関が調査をした場合は、相互通報を促進することが考えられる。

 

【送出機関及び送出しの在り方について】

○ ブローカーに多額の金銭を支払うことによって入国までの時間が短縮されるとか、よい事業者や人物と出会うことができるという誤解を含んだ認識を改めるには、求職者と求人者について、その適格性を事前に審査して認証しておくことが重要である。

事前に双方の適格性が認定されていれば、入管での在留審査も短期間で行うことができる。

また、通常のマッチングのルートであっても日本への呼び寄せが短期間で可能であるという認識が広まることが重要である。

受入れ事業者の要件としては、入国後初期の段階での日本語と技術の研修のメニューを示すことや、日本人と同等の雇用条件を明示することが考えられる。

○ マッチングに関与する公私の機関は、送出機関を必須とする国は別として、送出機関を介さないマッチング形態があってもよいと考える。

入国後の保護で有効な役割を持つのは、外国人技能実習機構や監理団体、自治体等であり、コストの面からも送出機関は必須ではないと思う。

○ 受入れ側の機関としては、ハローワークや公的な法人、業所管省庁がイニシアチブを持つべきである。例えば、適格な受入れ事業者とその事業者の雇用条件等をウェブサイトなどで各国語で情報提供し、職業紹介事業者についてもその実績を含めて情報提供することで、マッチングそのものにも役割を果たすことも考えられる。

また、監理団体を介さなければならない理由はなく、特定技能におけるマッチングルートは複数設定されていることも参考にされるべきであり、公的機関も関与することで、透明性、明確性を強める方向に転換していくべきである。

○ ILO181号条約の締結国として、送出機関への手数料上限設定、減額等の規定をMOCに盛り込むことが必要である。

特に、送出機関の監理が十分にできていない国については、当該国からの受入れを停止するなどの措置をオプションとして残していくことも必要である。

○ 送出し段階において、外国人材と受入れ側の双方がどれだけ正確で十分な情報を共有し、納得性を高めることができるかがポイントである。

送出国との関係次第で制約もあるが、この会議において、マッチングの充実を促すための取組の具体的な方向性にまで踏み込んで示すべきである。

○ 二国間協定及びそれ以外の国が認めた送出機関について、選定をより厳格にし、適正な企業、機関等から推薦をしていただきたい。

送出機関の信頼性が低いことから、我が国政府が相手国の送出機関を見極めるためにも、交渉先を絞るとともに、どの組織が国内外あるいは国内において権限を持って責任のある取締まりをするのかを明確にしていただきたい。

○ 技能実習期間が修了間近な技能実習生に対し、登録支援機関等がアプローチをかけ、引き抜きをしている例もある。

また、職業紹介事業者でないブローカーや不法就労をあっせん等していることもあることから、悪質なブローカーを排除していただきたい。

○ 技能実習生の自己負担が多い送出機関は自然に淘汰されていくのではないか。

○ 業界団体や制度所管省庁が協議会を通じて積極的に海外ともやりとりするアイディアは非常に有効だと思う。

○ 外国の送出機関やブローカーでも日本でオフィスを持つなどして事業活動を行っているのであれば、職安法の適用が可能であると考えられており、特に最近、職安法の改正により、募集情報等提供事業を行った場合、職安法の規制がかかることになる。

国外にわたる職業紹介については、ICT技術の発展等も踏まえ、改めて検討が必要である。

○ ILO181号条約8条1項では、国内における移民労働者に対する職業紹介事業者による不当な取扱いについて、適当な場合には、他の加盟国とも協力して、労使協議の上で国際的な視点も踏まえて措置を執るという義務規定になっている。

この労使協議の上で職業紹介事業等の不当な取扱いを防止していく仕組みは条約上必要である。

○ 送出機関を所管する官庁の管理監督能力が十分でないことが少なくないので、そういった能力の向上を図るべく、ODAによる技術協力プロジェクトの提案・提供、JICA専門家の派遣も検討されるべきである。

また、日本向けの意欲的な送出機関に対しては、JICAが直接、あるいはツーステップローンでもって融資するなど、資金面でサポートすることも検討されるべきではないか。

 

【日本語能力の向上方策について】

○ 生活者としての外国人の日本語教育についても、受入れ数の増加に対応した、かつ、継続的で目標が設定された教育が可能となるような体制を作る取組が必要である。

○ 業務内容の修得のためにも自らの権利を守るためにもN5ないしN5相当の日本語能力を必要とするのがよい。

ただし、日本語能力を身につけることが費用や期間の面で高いハードルにならないよう、政府ないし国の公的機関によるオンラインの教育などを充実させ、日本語試験も半年や1年に1回ではなく、定期的かつ頻繁に安価で受けられるようにすべきである。

○ 入国前の日本語要件を厳格化すると日本が優秀な外国人から選ばれなくなる懸念があるが、重要なのは、入国後においても継続的に日本語教育を受けられ、能力の向上を図ることができる体制作りである。

入国後に優良な日本語教育を実施する受入れ機関や監理団体に対しては、インセンティブとして入国前の日本語要件を緩和するというのも一案である。

○ 日本語能力は、受入れ機関での活躍や地域のコミュニティーへの参画を後押しするなど、外国人の活躍、共生を実現していく上で不可欠である。

例えば、移行基準に日本語能力を追加するなど、在留の段階ごとに日本語能力が実際に向上する仕組みを取り入れることも考えられる。

入国前の日本語のハードルを下げるのであれば、入国後の日本語能力向上策をセットで考えることが必要である。

また、現在、特定技能2号への移行に当たっては日本語要件が設けられていないが、家族帯同や永住権の対象となることから、日本語要件の有無についても検討すべきである。

○ 地方においては日本語教育の環境が十分に確保されていないことから、オンラインでの教育体制を拡充すべきである。

○ 新しい制度では、入国する際に日本語能力検定N5以上を保有するのがよい。

入国前講習をまともにやらずに送出しをしている不適正な機関を排除し、入国後においても引き続き日本語能力を研さんし、在留期間満了時には、技能検定の合格とともにN4以上の試験合格を必須とすべきである。

○ 就労開始前に日本語能力試験のN5を義務化するのは、募集に対する応募が少なくなっている業界からすると、海外の就労志向の外国人の心理的なハードルが高くなり、選ばれなくなるのではないかという懸念がある。

○ N5を義務化した場合、試験に合格しなかった者に対する措置も必要になる。

また、海外で試験を実施する場合、コンピューターを利用したCBT試験の実施など試験の在り方についても考えざるを得ない。 ○ 5技能が評価の対象となって育成されていくこと、また、CEFRとの参照が取れた日本語教育の参照枠があることは、外国人労働者の制度設計を考える上で重要である。

スキル形成という意味において、基準と標準カリキュラムを作り、かつ、国際的な資格の相互認証という観点でレリバンスが取れていることは、非常に参考になる取組である。

○ 生活者としての日本語を学ぶ場は、自治体や地域が大きいと思うが、一方で、就労者としての日本語、あるいは高度なレベルの日本語修得を目指す人たちの学ぶ場が必要であり、これを自治体や地域に押し付けるのはやり過ぎである。

コミュニケーション能力やプレゼン能力は、就業者としての高度化にもつながる話であるため、企業も一定の負担をすべきである。

○ 日本語教員の数が圧倒的に足りないという現実は、非常に深刻な問題である。

日本語教育の推進に関連した制度ができた以上、今度は予算をしっかりと確保していただきたい。

 

【その他】

○ 技能実習、特定技能のみならず、他の在留資格を含めた外国人労働者受入れ全般に関する会議体を作り、外国人労働者全般に関する総合的な議論を行うことが重要である。

そこには、労使を含めた関係者を委員として参画し、透明性を担保することが重要である。

さらに、その会議体の下には評価試験の整備や受入れ団体等の適格性、受入れ分野や人数、その他詳細について検討を行う会議体を設けてはどうか。

○ 要件の厳格化等を行い、制度の適正化を図ることにより、例えば留学生の資格外活動許可等、他の在留資格へのしわ寄せも懸念される。外国人労働者の受入れ全般について議論が必要である。 ○ 現場の運用は非常に大事であり、外国人材の環境調整を行う支援調整担当を設置し、強化していくことは大切である一方、手続や事務が大変であるため、事務の経費負担を軽減してほしいとの声もある。

事務に時間が割かれ、大事なものに力を注げないという結果にもなりかねないので、事務全般の現場の負担軽減も考慮していただきたい。

○ 入国制限が緩和され、入国者が増加している中で、審査に時間が掛かり、予定していた時期に入国できず、事業計画に支障が生じているという声や、外国人の入国や転職に関し、年々申請書類が増え、書類の提出先が多く、書類の内容も煩雑で資料の作成に時間を取られ、実習実施者や監理団体の負担となっているという声を聞く。

今後、国内の外国人労働者の増加が見込まれることから、外国人が審査の遅れなどにより就労や生活に不安を感じることなく、日本国内で安心して働き暮らすことができる環境整備をするという観点からも、手続の簡素化や対象の整備が必要ではないか。