技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第3回)
法務省 出入国在留管理庁HPより抜粋
議事要旨
日時
令和5年2月15日(水)10:00~12:00
場所
法務省5階 会議室
出席者(敬称略)
◎有識者
田中座長、高橋座長代理、市川委員、大下委員、黒谷委員、是川委員、佐久間委員、鈴木委員、武石委員、冨田委員、冨高委員、樋口委員、堀内委員、山川委員
◎関係省庁等
(内閣官房)
小玉参事官、岡野参事官
(出入国在留管理庁)
福原審議官、礒部政策課長、本針在留管理課長
(厚生労働省)
原口審議官、吉田外国人雇用対策課長、川口参事官(海外人材育成担当)
(経済産業省)
島津産業人材課長
(外国人技能実習機構) 大谷理事長、久富指導援助部長
議事内容
○ 出入国在留管理庁礒部政策課長より、【資料1】に基づき、「ヒアリング結果」について報告。
○ 出入国在留管理庁礒部政策課長より、【資料2-1】、【資料2-2】及び【資料23】に基づき、「論点第2」に係る現状について説明。
○ 各有識者より、論点第2について、下記のような意見があった。
【転籍の在り方について】
○ 日本人を雇用した場合と同様に、技能修得には一定の期間が必要であること、受入れ費用負担、事業計画等の観点からもほとんどの事業所が技能実習生の一定期間の在籍を望んでおり、また、人材確保の観点からも、技能実習生の一定の就労期間を確保することが必要。
○ 技能実習制度において、無条件で転籍の自由が認められた場合、地方の実習実施者が外国人の入国の足掛かりとなってしまう。
○ 賃金以外の何らかの要因で企業に適応できない理由がある場合、技能実習生の意思も尊重し、今より緩やかな制度として、原則1回に限り、同一職種での転籍を認めることも必要。
その際、地方への影響も十分に考慮して議論したい。
○ 自由意思で転籍を認める場合、入国の際の旅費等の費用負担について、次に受け入れた事業者が支払うこと等も検討が必要。
また、次の実習実施者が決まるまでの間、外国人技能実習機構が行っているシェルターの確保、職業紹介事業者や仲介ブローカー等がビジネスとして絡んでいないかの監視も必要。
○ 技能を習得する観点から、一つの実習実施機関で3年から5年間実習することが望ましいが、人権の尊重を前提として、同じ職種内での転籍は認めてはどうか。
○ 実習実施者による一方的な費用負担に対する不公平感が惹起される点や、転籍によって生じた欠員に対する補充の問題、転籍を希望する技能実習生の新たな受入れ先が見つからないといったトラブルや事態を未然に防ぐためのルール作りが必要。
○ 1年ごとの技能実習生の意向確認や、現行制度の実習継続困難時における実習先変更支援の改編、拡充を行い、外国人技能実習機構が転籍先をあっせんする等、積極的に関与する仕組みを構築するべき。また、営利目的の仲介業者が参入できない仕組みも必要。
○ 職域を超えた転籍は、給料が高い職種に人材が流出し、人手不足の産業がより一層人手不足に陥ることとなって産業間格差が生じてしまう。
○ 国内の人材確保が受入れ目的となっているとすると、人材育成は就労の結果であってそれ自体が目的ではないことから、在留資格との関係で転籍を認めない理由はない。
○ 技能実習生の失踪率が1.8%、転職が認められている特定技能外国人では行方不明者の割合が0.14%であり、10倍以上の差があることや、技能実習生の失踪数の状況からみても、例外的に転籍を認める制度は十分に機能していないのではないか。
○ 現行の労働法制上、有期労働契約が3年以内で、1年間はやむを得ない事由があるときに限り契約が終了できることとなっている。この制約以上に、入管法上で、外国人労働者の転籍を制限する必要はない。
○ 人材育成という観点から、広い意味での日本社会の就業規律や技術の維持、改善への意識などは、一つの職場にいなければ身に付かないというものではない。
その業種特有の技能についても、現行の技能実習のように3年間同じ職場でなければ身に付けられないものが今の技能実習の職種にあるとは考えられない。
○ 育てた人材が地方から大都市圏に大量に移動してしまうことを懸念する意見もあるが、現在の労働契約上の制限がある中で、転職が認められる特定技能外国人が大都市圏に大量に流入しているデータは今のところ見当たらない。
受け入れた企業が、給与水準を含め、キャリアアップをどのように示すのかが非常に重要な要素であり、自治体が外国人と共生するための環境整備をどれだけ行って、地域の魅力を引き出しているかも関係している。
そう考えると、在留資格と結びつけて法的に転職を拘束する必要性はない。
○ 転籍の仕組みとして、雇用主の同意や協議が必要とするとワークしなくなるので、基本的にはそれぞれの契約当事者の自由意思でできる仕組みとするべき。
○ 日本人であれ外国人であれ、1年や2年という短期間で会社から離れてしまうことは好ましくないが、これまでの議論を踏まえれば、技能実習制度の転籍不可という仕組みは、国内の労働法制や国際的な批判との見合いの中でもたないであろう。
ただし、具体的にどの点が国際的な批判に耐えられないのかを、見定めていく必要があり、その結果、ある程度転籍を認めざるを得ない制度になるのであれば、企業側も受け入れざるを得ない。
○ 1、2年の離職を回避するため、企業の努力や自治体の支援、国としての支援制度については別途考えていく必要がある。
○ 受入れに掛かるイニシャルコストが受け入れる企業側にとって負担であり、仮に転籍が自由になった場合に、イニシャルコストの問題が現状のままでは受け入れがたい。
これをどのように解消できるか、制度の中で、あるいは制度とは別に何かしらの支援の仕組みで負担感を抑えられるのかを考えていく必要がある。
○ よりよい労働条件を求めて転職していくのは、労働者の基本的な権利。
よい労働条件のために転籍していくことはやむを得ず、転籍されることにより、その業界自体が良くなっていくのではないか。
○ 転職と転籍は分けて考えていい。農業をやるために来たのであれば、農業をやってほしい。
例えば、在留資格が「技能」で調理人の方がIT企業に就職を希望する場合には、在留資格の変更が必要であり、「技能」のままでは分野を超えた転職はできない。分野を超えた転職をするためには、1回出直すというのは十分合理的なのではないか。
○ 在留資格の審査の場面では、やむを得ない事由があった場合のみ転籍を認めていることにより、立証責任が技能実習生本人に転嫁されてしまい、実習先の法令違反が立証できなければ救えない状況になってしまっている。
実態としてちゃんと救えるような制度にしていく必要がある。
○ 各国比較でも転職可とされつつ、事実上頻繁に転職しにくいものが多いなど、実質的な部分を踏まえる必要がある。
日本でも現行制度で転籍が認められている部分で、転籍がどの程度行われているのか、実態を踏まえ、事実認定を丁寧にしていくことが重要。
○ OECD、ILOのヒアリングにおいても転籍制限イコール即人権侵害ではないと明確に言っている。
その職、その雇用の現場において認めていて、自国民の働く権利と非常に密接に関わっている。それを無制限に認めると、それは別種の権利侵害を生む。
○ 転籍制限は、諸外国でもよくあることであるし、制限がゼロか100かではなく、業種や職種によって転職を制限する一定の期間をどれくらいの期間とするべきかが異なると思うので、そこまで議論を詰めるべき。
○ ILOのヒアリングでも契約上の条件が満たされている場合というお話があり、期間4 の定めのある雇用契約はやむを得ない事由がなければ解約できないが、人権侵害や重大な契約違反があった時の転籍を実際上行うことができるかどうかは、契約上やむを得ない事由にあたるという問題とは別に、入管法上の在留許可に関する条件についてもきちんと周知することや、契約や実習計画について本人に示してサインをもらうなどの透明化を図ることが、失踪の防止や救済の観点から必要である。
○ 労働条件がいいところに移るのはある種の労働市場のメカニズムであるので、働き続けることにつき様々なインセンティブを企業側で作っていく工夫が必要。
○ 技能実習生の人権保護を一層強化するため、一定の要件の下で、これまで以上に柔軟に転籍を認めてもよい。
一方で、技能実習生のキャリア形成を阻害するような転籍は認めるべきではない。短期間で転籍を繰り返すのはキャリア形成に支障があるので、例えば1年に1度など回数制限を設けることも必要。
転籍制限をなくすと、真面目に技能移転に取り組んでいる実習実施者が結果的に受入れを取りやめざるを得なくなることを懸念している。
良質な実習実施者が退出し、悪質な実習実施者が残るような事態になりかねない。これを防ぐためにも、実習実施者にとっても技能実習生に技能移転を行うインセンティブが保たれる制度設計が必要。
○ 人権の視点から考えたとき、完全に移動できないのは仕組みとして問題があるが、スキル形成という視点では、一つの職場で一定期間習熟を図るという視点もあるため、人権の課題とバランスをとった検討が必要。劣悪な労働環境においては転籍可能という実習先変更支援の枠組みを緩やかにして、例えば労働者自身がスキルアップを目指す場合にも広げることも考えられる。
○ 転籍を可能な制度としたとしても、そもそもマッチングがうまくいっているか、住居が見つけられるのか、転籍先が見つけられず在留資格を喪失したら日本にいられなくなるなど、他の在留資格にも共通する課題もあり、幅広に検討する必要がある。
○ 技能実習制度における実習先変更の実績やマッチングでの課題把握も重要であり、特定技能制度においても分野ごとに離職状況が異なっていることから、実態を把握して検討することが必要。
○ 技能実習に一定の人材育成機能を持たせるべきであり、完全に転籍を自由に認めるのは難しい。技能実習生ごとに技能実習計画が作成、認定されている仕組みの中で自由に転籍を認めれば、人材育成機能を軽減させてしまう。
○ 現状でもやむを得ない事情がある場合は転籍が可能であるが、監理団体が技能実習生の問題にきちんと対処できているかという問題もある。
○ 転籍や転職については、現場で技能実習生が置かれている実態を踏まえて、国際基準からは何がアウトかセーフかをクリアにした上で、人権配慮の観点から、絶対的な基準に照らして判断すべき。
また、技能実習生が声をあげられる状況にあるかといった観点から、相談制度の運用実態を検証すべき。
○ 人権は普遍的概念と言われるが、どこかの国際機関が確定的に決定できるものではない。
国際的な批判を十分に認識する必要はあるが、日本における人権状況がどうあるべきかは、日本人自身が主体的に決めることである。
国際機関は国家主権を大切にするため、各国に対する評価の言い方が慎重になるのは当然のことであり、それをもって日本国内の人権状況が全てオーケーとなるわけではない。
今後の政策決定において在留外国人の人権をどう確保するかは、日本の労働法制の適用も含めて我が国が主体的に決めるべき。
【監理団体や登録支援機関の監理及び支援の在り方について】
○ 受入れ事業所が監理団体に支払う費用について、透明性を確保すること等により、受入れ事業所の費用負担の軽減を図るとともに、監理団体の事業活動を評価し、公表することによって受入れ事業所が監理団体を選ぶ幅を拡げることが必要。
○ 技能実習生等の日本語や生活習慣の理解不足に関し、現場の受入れ企業によるサポートは万全と言えない事情にあることから、監理団体による支援の充実とその評価・公表が必要。
○ 登録支援機関の手数料には上限がないが、過大な要求を避けるためにも、ある程度制約を設けることが必要。また、登録支援機関は、個人、法人、営利団体、非営利団体を問わず登録することができるが、許可制の監理団体と比べると行政の検査や報告の機会が少ないので、登録支援機関も協同組合等の非営利組織で許可制とし、許可要件に職業紹介事業許可を取得していることを入れるべき。
○ 小規模かつ技能実習の共同受入れ事業しか行っていない監理団体が多すぎるので、組合の他の共同経済事業で収益を上げていなかったり、債務超過であったり、組合員数が少なすぎるなどの基準に満たない監理団体は、監理事業を休止するなどの措置も必要。
○ 不適正な監理団体は淘汰し、優良な監理団体だけを存続させる仕組み作りが必要。
人権侵害等の深刻なケースは厳正に対処するほか、優良な監理団体には更なるインセンティブを付与するべき。
○ 監理団体が送出機関を通じて呼び寄せる仕組みによって、かえって高額のコストがかかっていることから、呼び寄せの方法としては政府の機関同士があっせんするという方法を中心として、必要であれば民間の職業紹介会社が呼び寄せ会社の費用負担であっせんするという方法に切り替えていくことが必要。
そうすると監理団体は、呼び寄せに関わる機関ではなく、入国した外国人の保護のために活動する、登録支援機関と同様の役割に限定していくべき。
○ 現行の登録支援機関による支援の仕組み、公的機関による保護の仕組み、受入れ企業が拠出した半ば公的な団体による支援の仕組み、この三つの並列した仕組みを有効な方法に整理統合できないか。
○ 監理団体や登録支援機関は、受入れ企業から費用を受け取って運営しているため、雇用主から独立した立場で保護しにくい関係にある。
受入れ企業の負担は必要であるとしても、国や公的機関へ拠出するのが有効な方法ではないか。
○ 現行は、技能実習制度と特定技能制度という二つの制度がある中でそれぞれに監理団体と登録支援機関という二つの仕組みがあるが、外国人材を受け入れるに当たり、受け入れる企業の適正な受入れを支援する仕組み、管理監督をする仕組み、日本で学び働く外国人の就労面と生活面を支援する仕組みが必要であり、両制度が残る場合であってもこれらをシームレスにサポートする仕組みに再構築する必要がある。
外国人材の生活面での支援は自治体等で行い、企業の適正な受入れの支援は監理団体のような企業の団体が行うというように、役割分担するのが望ましい。
○ 監理団体が営利性を持っていないことで、より良い賃金を出す事業者に送り出すインセンティブがなく、傘下事業者の賃金が一番低いところに賃金を合わせてしまうケースがあり、このことが、技能実習1号、2号が最低賃金に張り付いている理由の一つとなっているので、営利か非営利かということであらかじめ排除するのではなく、適切なインセンティブ構造の下、制度を設計する必要がある。
○ 外国人労働者に寄り添って適切に支援することが監理団体には求められているが、監理団体が実習実施者の意見を優先し、擁護する事案もあると聞いている。
また、監理団体によっては、傘下に技能実習生の受入れ事業所が1法人しかないようなところもあるが、支援の必要性から特別に職業紹介が認められているものであるので、例えば、労働法等の違反を起こした監理団体等は今後一切の受入れを認めない、一つしか実習実施者を見込んでいないところは認めないなど、監理団体の適格性はより厳格化する必要がある。
○ 登録支援機関について、支援機関として質が担保されているかは非常に疑問がある。
特に試験ルートで来日した特定技能外国人について、技能実習生と同様の支援が不可欠であり、適切に支援を行う適格性の観点から、例えば許可制とする、第三者による審査プロセスを設けるなど質を担保する施策が必要。
○ 優良な監理団体や登録支援機関に絞ることは大事。
実習実施者によって技能実習生のサポートに温度差があり、それを監理団体が水準を平準化したり、上げている面があるため、監理団体が外国人材をサポートできる仕組みは必要。
しかしながら負担感が強いので、公的な支援があるのが望ましい。
○ 監理団体の適正化を図ることはもちろん、独立性をより強化する必要がある。
また、登録支援機関にも適正化のための行政のコントロールが及んだ方がよいのではないか。
○ 外国人はネット上で情報収集することが多いと思うので、監理団体の事業活動を評価し、公表するのは有益なアイデアではないか。
○ 監理団体としてきちんと機能を果たせるかという問題が散見される事例が出てきているため、監理団体の在り方をもう一度整理する必要がある。技能実習と特定技能を一つの連続した仕組みとするのであれば、登録支援機関と監理団体を一本化するような方向で検討するのは、非常に有効な方法ではないか。
○ 労働者からすると、支援が監理団体と自治体とで分かれているのは分かりにくいため、監理団体が一元的に外国人の労働に関して責任を持ち、自治体につないでいく機能を持つことで、監理団体の責任の所在を明確にしておく必要がある。
○ 規模の大きな監理団体はスケールメリットがあり、あまり問題は起こらず、多くの企業を見ているからこそ転籍支援もできるのではないか。
○ 技能実習生を同じ企業に置くことで、その実習先から監理費として監理団体にお金が入り、そこからまた送出機関に費用が流れるため、実習生をそこに置いておくことが送出機関と監理団体のメリットとなる。
問題が生じた場合、帰国までは監理団体の責任となっているため、監理団体は自分たちが不利益を被らないよう、帰国させるということが生じている。したがって、技能実習生と企業、監理団体のお金のつながりを切り離し、国に一旦支払うような仕組みがあるといい。
○ 監理団体や登録支援機関はそれぞれ経験・実績を積んできており、それらの活用を前提に制度設計することが現実的。
○ 監理団体が登録支援機関も行っている割合は54.1%であり、事業協同組合が監理団体のノウハウを使いながら登録支援機関を行っている現状がある。
登録支援機関が監理団体のような事業をするのは、監理団体の許可も取っているところはできても、それ以外のところは難しいのではないか。
【国の関与や外国人技能実習機構の在り方について】
○ 地方公共団体の関与は非常に重要であり、外国人を雇用する企業が地域単位で集まってサポートし合ったり、自治体が情報共有のプラットフォームを作るなど、多面的な支援を地域単位で進めていく必要がある。
○ 行政機関がもっと関与し、外国人材と共生を目指す地域のコミュニティ作りを目指す組織を作り、支援していくこともこれからは重要である。 ○ 外国人技能実習機構には有効な役割があるため、技能実習制度から別の制度に切り替えていく場合であっても、存続していくことは考えられる。
その場合、労働基準監督署との役割分担をどうするかが論点となる。
○ 外国人技能実習機構の相談業務について、技能実習にかかわらず、特定技能や他の就労系の在留資格に拡大した保護機関とするのも一つの方向性としてある。また、管理監督を行うのであれば、機構の規模や権限について見直すべき。さらに、登録支援機関や分野別の機構の仕組みや役割分担、整理統合を考えることが必要。
○ 不適切な監理団体は淘汰していくという観点からも、外国人技能実習機構の体制強化は不可欠。機構に蓄積された技能実習生のトラブル対応や生活支援に関するノウハウは活用すべきであり、機構が特定技能外国人への支援を今後実施していくことも有益である。
○ 外国人技能実習機構には、悪質な実習実施者や受入れ機関に対する取締りの役割もあ8 ることから、存続すべき。
なお、機構に対する書類作成や報告の手続を簡素化できるとよい。
○ 外国人の住宅環境整備に対し、国の支援があってもいいのではないか。
○ 職業紹介におけるハローワークの役割を強化できないか。ハローワークの活用は、悪質なブローカーの排除において、国がきちんと対応していくという意味で重要。
○ 外国人技能実習機構の技能実習生の保護などの機能は非常に大事だが、電話番号のない技能実習生もアクセスできるようにすべき。
○ 外国人技能実習機構の役割のうち、技能実習計画の認定に多大な労力を割いていると思うが、それよりは技能実習生の保護に支援の重点を移行していくのがよい。
○ 労働行政と入管行政の連携を強めるべき。労働基準監督署は、技能実習生を受け入れている企業に重点的に監督に入っており、実態の情報を把握しやすいので、連携することは有益である。また、ハローワークは、外国人雇用状況の届出を通じた雇用状況や、その地域の人手不足企業で外国人をどれくらい募集しているかを把握しているので、地域の行政と労働局等とが連携し、労働市場をうまく機能させていくことはあり得る。
○ 外国人技能実習機構という国の責任による一元的な管理体制が取られることは意義があり、ノウハウの蓄積も進んでいる。
特定技能も含め、国の一元的な監督機関は必要。ただし、体制が追いついていない点があるので、予算確保も含め、体制整備を図ることが必要である。
○ 今後、登録支援機関でいろいろな問題が出てきたときに、登録支援機関の実効性を担保する国の監督機関が必要という声が出てくるだろう。外国人技能実習機構の問題は、特定技能制度についてもどうするかということも視野に入れて議論する必要がある。
○ 業所管省庁は、管理監督ではなく、企業の適正な受入れを後押しする役割として、積極的に関与することが求められる。
○ 行政が直接的に労働者の保護に関与することはワークしないのではないか。国などの行政の立ち位置は、一歩背後から支援機関を管理監督する役割に置いた方がよい。
○ 外国人技能実習機構では、多様な相談を受けているが、相談の結果を支援機関の指導にいかしていくべきではないか。本来は支援機関が対応すべきものもあり、外国人技能実習機構における相談の位置づけを改めて整理しておく必要がある。
○ 特定技能制度は多くの省庁にまたがるため、連絡調整をする一元的な機関を作る又は外国人技能実習機構にその役割を与える等の検討も必要。また、外国人在留支援センターとの連携の仕方も検討が必要。
【国際労働市場の実態及びメカニズムを踏まえた送出機関や送出しの在り方について】
○ 韓国の雇用許可制の例をみると、政府機関同士であっても、外国人が相当の手数料をブローカーに取られているという調査結果もあることから、政府機関同士でのあっせんにすれば問題が解決するわけではなく、相手国の実態をよく見極める必要がある。
送出しルートを一つに絞るのがいいのか、複数のルートにするのか、いずれにせよ、コスト、効率性、悪質なブローカーを排除できるか、という観点で考える必要がある。
○ 国際労働移動に関しては、市場原理に任せると失敗する歴史的事実があり、送出国はそれを非常に嫌う。最新の調査結果からも海外の送出機関からは、技能実習制度はコンプライアンスや人権保護の観点に関する評価は高く、特定技能制度は外国人の権利保護体制に懸念が示されている。
○ 政府機関同士でのあっせんは、一つの理想形として挙げられるが、韓国政府の調査でも政府機関にたどり着く前に、技能実習生とほぼ同額の手数料を徴収されているという結果があるなど、ブローカーが排除されるわけではなく、政府の財政的支出も莫大である。日本に来る外国人労働者が更に増えることを考えると、民間事業者にライセンスを与えてそれを規制し、インセンティブを与えながらコントロールしていく方式が考え得る。