以前、3年に1回は外国人技能実習機構(OTIT)による実習実施者(受入企業様)の実地検査が必ずありますとお話し致しました。
今回は、この定期監査(実地検査)のポイントをお伝えいたします。
まず、実習実施者の行政処分の状況ですが、
2021年9月17日現在、これまでに技能実習計画の認定が取り消された受け入れ企業様は194団体あります。
実習実施者(受入企業様)が行政処分された内容は主に下記の3種類になります。
(1)技能実習法違反(行政処分の約30%)
技能実習計画の齟齬や技能実習生の保護に関して、指摘をうけることが多いようです。
例えば技能実習生の預金通帳を企業様が預かっているケースなどがあるようです。
(2)労働基準法・労働安全衛生法違反(行政処分の約30%)
未払い賃金があったり、労働安全衛生法違反があるケースです。
未払い賃金には未払い残業代も含まれます。タイムカードやタイムシートを活用して、きちんと支払うようにする必要があります。
(3)入管法違反(行政処分の約30%)
不法就労などがあります。
実習実施者(受入企業様)は法律をよく知らないケースがあり、外国人を雇用する際には彼らの在留カードを確認しておく必要があります。
外国人技能実習機構(OTIT)から指摘を受けないようにしたいので、
出来るだけ3か月に1回の監理団体による定期監査の際にきちんとしておくことが望まれます。
「雇用契約書」、「賃金台帳」、「振込記録」、「出勤簿」、「36協定」、「有給管理表」、「賃金控除協定」はきちんと整備していますか。
もう1度確認しておきましょう。
★「賃金台帳」の留意点
賃金台帳には次の必要記載事項を入力します。
「基本給や手当などの支給額」、「控除額」、「賃金計算期間」、「労働日数」、「労働時間数」、「時間外&深夜&休日労働時間数」。
法定労働時間は1日に8時間、1週間に40時間までです。
週に40時間を超えると時間外手当が必用です。
振込記録も確認されます。毎月一定期日の全額支払いをしてください。
万一失踪してしまったケースでも失踪時の最終給与の支払う必要があります。
★給与支払額の留意点
「最低賃金」に注意しましょう。
時給換算。
基本給の場合は所定労働時間で割った単価(精皆勤・通勤・家族手当は除外)で算出します。
「地域別の最低賃金」と「産業別最低賃金」の両方を確認しておきましょう。
特に10月、11月、12月の給与には注意が必要です。
時間外手当は25%の割増、休日手当は35%の割増、深夜手当は更に25%の割増が必用です。
★出勤簿の留意点
時間外労働の上限規制にご注意ください。
時間外労働は年に720時間以内です。
また時間外労働+休日労働は月に100時間未満、2~6ヵ月平均で80時間以内です。
原則である月45時間を超えることができるのは、年6カ月までです。
出退勤の時間の表示が1分刻みできるようにしておきます。
休憩時間の表示も必要です。
タイムカードなど客観的な記録を基礎とします。
★振替休日と代休の違い
休日などに就労させる場合ですが、
振替休日の要件を満たしていない場合、代休扱いとなり、35%以上の割増賃金の支払いが必要になりますのでご注意ください。
振替休日にする場合は、あらかじめ就業規則や労働協約などの規定が必要になります。
また振替休日にする場合は、休日の事前の特定が必用です。休日出勤してもらう前に振替する日を決定する必要があります。
休日出勤の場合には休日労働に関しての36協定の届けをしておく必要があります。
そして、大事なのは、振替休日扱いにする場合には、実習生への説明を十分にして理解してもらう必要があります。
★36協定の留意点
2021年4月から36協定の届けが新様式になっております。
労働局HPよりダウンロードできます。
有効期間の更新はしていますか。
届出した時間を超えて残業させてはいませんか。
有害業務の場合、時間外労働(残業)は1日2時間を超えてはいませんか。
ご注意ください。
★給与控除額の留意点
賃金台帳でチェックします。
毎年、社会保険料の料率変更があるので、4月と10月の給与には控除額が間違っていないか注意が必要です。
また雇用保険料の料率変更もあるので、毎年4月の給与や控除額には間違いが無いか注意が必要です。
雇用契約書、賃金控除協定との付け合わせもしておいてください。
★賃金控除協定の留意点
賃金控除に関する協定書は作成していないと労働基準法24条違反により控除が無効となるのでご注意ください。
労働局のHPの様式集からテンプレートのダウンロードが可能です。
★有給休暇管理表の留意点
付与日数、繰越日数、使用日数、残日数を明示します。
労働基準法改正により、年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、
毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要があります。
大企業・中小企業とも2019年4月から施行になっていますので、再度ご確認ください。
★技能実習生への労働条件の明示の留意点
技能実習の認定計画でOTIT(外国人技能実習機構)に提出した母国語併記の雇用条件書に記載されています。
会社の就業規則の全部を実習生の母国語に翻訳するのは大変なので、
分かりやすい日本語に直した就業規則を作っておくと、実習生にも理解してもらいやすいです。
厚生労働省のHPでわかりやすい日本語の就業規則のひな形がダウンロードできます。
何かご不明な点がございましたらPFF協同組合(03-3830-1617)にお問い合わせください。